Teruchanち

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新井素子 on「イン・ザ・ヘブン」発売記念トークショー

素子さんの新刊「イン・ザ・ヘブン」の発売記念に代官山の蔦屋書店で行われた、ミニトーク&サイン会に行ってきたぁ。
3月に池袋ジュンク堂でやったトークセッション以来だけど、あの時は「日本SF作家クラブ創立50周年記念 プラネタリウム番組を語る」で4人でのトークだったから、素子さんだけのトークは久しぶり。


蔦屋書店は去年のオープン以来、テレビや雑誌でもよく見かけて気にはなってたんだけど、なかなか行く機会が無かったのでお初。代官山には学生時代に1回行ってオシャレすぎてビビった覚えがあったけど、20数年ぶりに行ったら、やっぱりオシャレすぎて腰が引けまくり。おばさんがユニクロとか着てきてスミマセンって感じ。
3つの2階建ての建物が並んでて、行き来するには外に出る。木々の下に座れたり、渡り廊下だったりと、季節が良かったら気分がいいんだろうけど、冬はちょっと寒いかな。中も小さな部屋に区切られてたりして、とにかくオシャレ。でも「オシャレじゃない本」は並んでないんだよね。コンピュータ関係とかも無かったし。
まず1階のレジで早めに受付。電話予約をしていたので整理券を受け取って、新刊を購入。T-SITE内で遅めのランチをとってから、会場の1号館(?)2階のイベントスペースへ。児童書コーナーの横にある柔らいベンチが並んだ、普段は誰でも憩える場所。店員さんがベンチを並び替えたりと準備をするのを横目で見ながらクリスマス本などを眺め、入口に女性が並んだのですかさず後ろに並ぶと、すぐに開場。一番前の列の端に陣取る。
トークのお相手は新潮社編集者のミューズ@北村暁子さん。ついでに書店側の仕切りは元ABCのポップ職人ことブックコンシェルジュの間室道子さん。なんと素子さんを含めたこの3人は同じ歳だよ。
ミニトークということで質問コーナーを合わせても1時間弱。とにかく早口で喋り始めると止まらない素子さんだし、短く感じたけど、ちゃんと伝えなければならないことは伝えてもらったかな。

「イン・ザ・ヘブン」について

「ほしのはじまり」でショートショートを読みまくった(1回目は普通に読んで、2回目は詳細なメモを取りながら読んで、3回目は載せるものを選ぶのに読むという、星さんに倣った方式を採用した)おかげで短い話が書けるようになったので、星新一トリビュートとかの依頼も断らずに済むようになって嬉しい。
「この本にも書いた、あんな書き方もっ」とかいう話にもなってたんだけど、実はこの本はちょっと前に発売になってたけど、この日まで買わずに待ってたから未読で、ネタがわからなかったので後で確認。
ミューズ曰く、「おしまいの日」は新潮社として初めての小説で、依頼した時に待ち行列が8番目。結局、着手までに6年、書くのに2年で8年待った。「もいちどあなたに」も「ほしの」のせいなどもあって、だいぶ待った。でも「イン・ザ」は3年しか待たなかった!らしい。他の作家さんに「新井さんは8年待ったから待てます」と言うと安心されてたけど、そろそろ定年が見えてきたので「2〜3年でお願いします」となってきたとか。

自分の作品を読む

自分の本は寝る前の酔っぱらってる時に読むらしい。記憶が飛ぶことが多いから、他の人の本の内容を忘れると困るけど自分のなら忘れ放題だし、何より読んでてリズムが気持ちいいんだって。素子さんの句読点は息継ぎで打たれてるから、楽に息が出来る。
最近、文章に2行開けが増えて自分でも何でかと思ってたけど、息が切れるようになってブレスが長くなってるからだ!とトーク中に発見してた(笑)

文体

素子さんの代名詞と言われる言文一致な文体は「女の子なら誰でも書ける」と思われがちだが、実は難しい。登場人物に自分達が喋るように喋らせたいと思って書き始めたけど、喋るのとまったく同じように書くと述部が流れてしまう。あれは実は中学時代に試行錯誤して編み出した文体なのだっ。

次回作

ランティエに連載中の「未来へ‥‥」が、本来は年末くらいには本になる予定だったけど、例の如く長くなっている。今のところの見通しではGWくらいには連載が終わって、来年中には本になるんじゃないかなと。
小説を2つ同時並行では書けないので、それが終わるまでは他は難しい。(小説とエッセーは書ける)
ここで北村さんから「『今作』というのに『次作』ではなく『次回作』なのは何故だ」という問題提起がされ、素子さん的な解は「『自作』と間違うからじゃない?」だった。

星へ行く船の復刊

ゲラチェックは去年のうちに終わってるんだけど、1冊にひとつの新作短編(!)を入れようと思ってしまった。月のうち連載に10日、こっちに10日のつもりが、なんだかんだでその10日が浸食されて、なかなか進まないとか。
短編は主人公達では無く、中谷くん、所長、熊さんの話を書きたい。
トーク前に紙に質問を書かされたので、太一郎さんがパスポートを取りに行って船ごと吹っ飛ばされた話はいつかと書いたんだけど、その話は無さそうだなぁ‥‥。

マイブーム

好きな食べ物はジャガイモ(笑) 嫌いなのはナスと納豆。マイブームはミカン!週末に囲碁の合宿に行った時にミカン狩りを見掛けて、やりたかったらしい。


トーク、サイン会を終え、オットと待ち合わせてブラブラして、また同じコーナーに居た時、素子さんがよく響く声で映画の本がどうたらこうたらと話しながらエスカレーターを昇ってきた。慌ててオットに「戻ってきたっ」と報告。
そういえば3月のジュンク堂の時は、トークの前にトイレに行ったら、素子さんと鉢合わせしてビックリしたんだよなぁ。有名人という構えが無さ過ぎぃ。オサレな代官山に赤いTシャツとチェックのシャツという超普段着で来るのも、いかにも過ぎるけど(笑) あ、足元はいつものふかふかブーツ。夏だと何を履いてるのか気になる。